制定居合の型には、それぞれにシチュエーションというものがあります。
これが、そこいらの小説より緊迫感があって、ドラマティックなんですよ。
聞いてるだけで、もう、頭の中に妄想がもやもやとしてしまうくらい、素敵です。
というわけで、間違いだらけの制定居合シチュエーション、ちょっとだけ書いてみようかと思います。
制定居合 一本目『前』
夜更け、同じ藩に仕える若い侍が、闇を縫って私の家を訪ねてきた。
来訪の要件は、大体わかっている。
不正を重ねていると噂されるあの男を消すのに力を貸せ、ということだろう。
狭い客間に彼を通し、差し向いになって話を聞けば、やはりその話だった。
若い侍は、義憤に駆られ、熱弁をふるう。
しかし私は、あの男が無実であることを知っている。
首を縦に振るはずがない。
じれた若い侍は、とうとう刀の柄に手をかけた。
「どうしても承知して下さらぬか!」
「ああ、できぬ」
返答しながら、そっと、下から摺り上げるように柄と鞘に手をかける。
逆上している若い侍は、それに全く気付かぬようだ。
「おのれぇっ!」
抜くのか。
瞬間、私は膝立ちになって右足を踏み込み、同時に刀を抜き打って、若い侍の向かって左のこめかみから右のこめかみまでを斬り裂いた。
「ぐっ」
よろめいて後ろに逃れようとする若い侍を、左の膝を右足のくるぶしまで引き付けて追い込む。
追い込みながら右手首を折り込んで刀を左耳の横から後ろを突くように振り上げ、右足を直角に踏み込んで、どっしりと上から斬り下ろす。
「がはっ」
ぱっと血しぶきが飛び散り、若い侍はあおむけに倒れた。
起き上がる気配は、無い。
私は彼を見つめながら、ゆっくりと刀を横に振り上げて鍔をこめかみに凝らし、袈裟に振り下ろしつつ腰を上げ、血ぶるいをした。
その時、彼のまぶたがかすかに動き、何か言いたそうに唇が震えたが、結局何を言いたかったのか分からなかった。
彼が完全に動かなくなり、私は足を踏み変え、腰を落としつつ納刀した。
無責任な噂に踊らされ、義憤で何も見えなくなった故に死んでしまった、哀れな侍。
ついていた右膝をあげ、私はそっと立ち上がり、三歩下がって一礼した。
うっわー、真面目に居合やってる人からの非難の声が聞こえますorz
でも自分の中で、一本目『前』って、こういうものなんです。
まだまだ続きますよ♪

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